いま見返すと、プロップファーム試験は約 100 本まで来ていた。名義は複数。ファームも 20 社近く。今回はそのシステムの、簡単な全容を書いておく。
エントリーロジックの解説ではない。一日の話で触れた「仕組みで回す」側の骨格だ。業者名・口座番号・コピーの実装細部は載せない。BAN 回避もあるし、読者が同じ構成をそのまま真似する記事でもない。
トレードスタイル
非常にシンプルだ。マスターはたくさんあるので、エントリーロジックやロット、ストップロス、テイクプロフィットには多少の差がある。それでも基本は同じだ。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 一日の最大トレード | 2 |
| 銘柄 | 1 つのみ |
| 1 トレードの最大リスク | 0.5%〜1% |
| 目標利益 | 2%〜4% |
| 一日の最大損失 | 1% 以内 |
このマスターシグナルを、1 つの MT5 につき 1 本稼働させる。その EA が、ニュース前後のトレード停止、週末前のポジションクローズ、一日の最大損失など、一般的なプロップファームのルールに抵触しないよう管理している。勝負はチャートの神業ではなく、ルールの内側でリスクリワードを続けることだ。考え方は アプローチの記事と同じ。
チャレンジ側では、そのマスターのシグナルをコピーしている。関係は厳密に 1:1 だ。1 本の試験が複数マスターを束ねることはない。
USDJPY なら、違うシグナルのマスター MT5 を 10 本以上並べることもある。ただし各チャレンジがコピーするのは、そのうちの 1 本だけ。マスター A の負けは、マスター B を見ている試験には乗らない。勝ち負けの偏りを均すのは、1 口座の中ではなく、試験を何本も並行して回す側の話だ。
システム構成
箱の役割は、だいたい次の 4 層に分かれる。
| 層 | 役割 |
|---|---|
| Master VPS | マスターシグナルが稼働する箱。USDJPY、EURUSD など、1 台の VPS につき 1 銘柄。だいたい 10〜15 種類のシグナルが動いている。 |
| Proxy PC | 1 つの名義につき 1 つの IP を固定するための出口。 |
| Slave VPS | チャレンジ稼働用。特定の VPS は特定の名義専用。Proxifier で、基本すべてのトラフィックを Proxy PC 経由にする。 |
| Cloud SQL + Cloud Run | 試験の管理、シグナルの受け渡しなど、このシステムの中枢。アプリは独自開発。 |
VPS そのものの話は VPS の関連記事、出口 IP の話は 固定 IP モバイル Proxy に書いた。ここでは「なぜその箱が必要か」より、「箱同士がどう繋がっているか」だけ置く。
トレードのイメージ
流れは一方向だ。
- Master VPS 上のシグナルが動く
- 個人開発のプログラムが、そのシグナルを DB に送る
- Slave VPS が、自分が回しているチャレンジに対応したマスターのシグナルを定期的に見る
- シグナルを受け取れば、AutoIt による UI Automation で MT5 にトレードを出す
EA をチャレンジ口座に直接載せない。マスターはマスター、試験は試験。コピー側は「人が操作しているように見える」執行にして、試験を進める。
例として、VPS 1 と VPS 2 は名義 A。通信は Proxy A を通してチャレンジを回す。VPS 3 と VPS 4 は名義 B で、同じことを Proxy B 側でやる。口座を増やすほど、名義と IP を揃えておかないと、あとから効いてくる。
開発は Cursor がメイン
この中枢も、Slave 側の監視も、開発環境は Cursor がメインだ。100 本を手で回す前提では、この規模は持たない。設計と運用の判断は自分、実装の手数はエディタ側、という分担になっている。
開発に詰まったときに何度もお世話になっているのが、好きなポテチだ。Kettle のシーソルト&ビネガー(新しいタブで開く)(広告)。酸っぱくて、コードと睨めっこしているときにちょうどいい。
派手な「勝てる EA」の話ではない。一日最大 2 トレード、リスクは小さく、ルールはプログラムで守り、コピーは 1:1、箱は銘柄と名義で分ける。約 100 本まで来て、まだこの骨格で回している。