「合格率」は 2 段ある

検索で出てくる合格率は、だいたい次のどれかを混ぜて語られている。混ぜたまま比較すると、数字が勝手に良く見えたり悪く見えたりする。

試験の合格率

  • チャレンジのルールと利益目標を満たす
  • 2 段階なら両フェーズを通す
  • ここがよく「合格率 10%」と言われる層

出金到達率

  • Funded でルールを守り切る
  • 初回 Payout の条件を満たす
  • 合格しても、ここでまた落ちる

FunderPro の整理でも、QuantVPS の業界まとめでも、同じことを言っている。試験に受かることと、お金を受け取ることは別だ。このサイトでも「合格」と「出金」は分けて読む。

公開データで見る数字

複数ソースを重ねると、小売型チャレンジの合格率はだいたい同じ帯に収まる。正確な一点ではない。レンジとして見る。

試験合格

5–12%

業界まとめは 5〜10%。2 段階の CFD 系は 10〜12% 前後という整理も

受験者ベースの出金

~7%

QuantVPS は「報酬を受け取るのは約 7%」。合格後にまた削られる

Funded 後の報酬

~20%

The Funded Trader 開示(2025-03)は、合格者のうち報酬到達が約 2 割

ソース 試験合格 出金・報酬 メモ
QuantVPS 約 5〜10% 約 7% が報酬 2025〜2026 の業界まとめ。先物系も含む
FunderPro 約 5〜10% さらに少ない QuantVPS / HighStrike / The Funded Trader を横断
The Funded Trader 約 5〜10% 合格者の約 20% Finance Magnates 経由の開示(2025-03)
Trader's Second Brain FTMO 10〜12% など 初回出金 7〜9% 公開統計 + コミュニティ + ユーザー追跡

数字はいずれも概数。業者は正確な合格率を出す動機が薄い。口座サイズ・時期・「合格」の定義で動く。

CFD 系でよく出るファーム別の目安

このサイトは CFD プロップが本丸だ。海外まとめには Topstep や Apex など先物系の数字も混ざるが、ここでは CFD で名前が出やすいところに絞る。公式値ではない。

ファーム 試験合格の目安 構造 出典の性質
FTMO 両フェーズで 10〜12%
Phase 1 単体は約 25%
Challenge + Verification TSB(コミュニティ + 公開統計)
FundedNext 両フェーズで 12〜15%
Phase 1 単体は約 28%
Challenge + Verification TSB(コミュニティ推定)
The5%ers 8〜15% プログラムにより異なる TSB(公開データは限定的)

口座サイズも効く。$100K 超は、利益目標の比率は同じでも、ドローダウンの絶対額が大きく見えるせいで動きが荒れやすい、という整理が多い。小さい口座の方がわずかに通りやすい、という話だ。

どこで落ちるか

2 段階の最大の谷は Phase 1 だ。TSB の整理では、スタート 100 に対して Phase 1 通過は約 25。つまり4 人に 3 人は最初の関門で消える。キラーは利益目標不足より、最大ドローダウン側だ。

2 段階試験の落ち方(概数) 受験スタート 100 Phase 1 合格 ~25 Phase 2 合格 ~10–12 初回出金 ~7–9
FTMO 系 2 段階の落ち方イメージ(TSB)。Phase 1 で約 75% が消える。
段階 FTMO FundedNext メモ
Phase 1 開始 100% 100%
Phase 1 合格 約 25% 約 28% 大半は DD、目標未達ではない
Phase 2 開始 約 20% 約 22% 開始しない人もいる
Phase 2 合格 約 10〜12% 約 12〜15% 目標は低いが DD ルールは同じ
初回出金 約 7〜9% 約 8〜10% 合格しても Funded で溶ける

失格理由の内訳(TSB ユーザー追跡)は、かなり偏っている。

なぜ落ちるか(失格理由の概数) 最大損失 ~50% 日次損失 ~20% 時間切れ ~15% 細則違反 ~8% 途中放棄 ~5% 損失系で約 7 割。細則は少数だが、ここは潰せる
失格理由の内訳イメージ(TSB ユーザー追跡の概数)。最大損失が本丸。

~50%

最大損失

口座のドローダウン上限。サイズが大きすぎると連敗 3〜4 本で終わる。

~20%

日次損失

悪い日に取り返そうとして、日次上限まで突っ込む。復讐トレード。

~15%

時間切れ

期限付きプログラムで、目標まで届かない。急いでサイズを上げると最大損失側へ滑る。

~8%

細則違反

ニュース、オーバーナイト、一貫性、コピー疑惑など。ここは潰せる。

~5%

途中放棄

上限に当たる前に止める。メンタルと資金繰り。

損失系(最大 + 日次)で約 7 割。戦略がダメというより、ルールの損失枠に対してサイズが大きすぎる失敗だ、というのが TSB の読みだ。FunderPro 側も、よくある日次 5% / 全体 10% のキャップがオーバーサイズを罰する、と同じ構造を書いている。

出金できるのは、そのまた一握り

試験に受かったあとも、ファネルは続く。QuantVPS は業界横断で「報酬を受け取るのは約 7%」。TSB は FTMO 系で初回出金 7〜9%。The Funded Trader は合格者のうち報酬到達が約 20%——受験者全体に戻すと、やはり数%台だ。

Funded 生存の話はさらに厳しい。TSB の寄せでは、90 日でおおよそ半数が口座を失うか止まる。1 年残るのはさらに少ない。試験中はリセットできる前提で慎重だった人が、Funded になった瞬間に怖くなるか、逆に緩むか。どちらも戦略が崩れる。

30 日

まだ過半数は動いている

90 日

おおよそ半分が失効か停止

180 日

さらに減る。半数を切る、という整理が多い

1 年

当初 Funded のうち、残るのは一握り

だから「合格しました」の SNS スクショは、物語の途中だ。出金まで、そして出金を繰り返すところまでが本編、という前提で数字を見た方がいい。期待値の組み方はプロップトレーダーとしてのアプローチ側で書いている。

それでも、プロ選手になるよりは届く

5〜7% は「一握り」だ。100 人受けて、お金を受け取るのは数人。甘い話ではない。

ただ、プロスポーツの門と比べると桁が違う。高校・大学の野球部員からプロ野球に入るのは、部員全体を母数にするとおおよそ 0.03%(約 3,300 人に 1 人)という整理がよく出る。NCAA の推計では、大学男子バスケから NBA ドラフト到達はおおよそ 1%。どちらも、すでにその競技を本気でやっている人の中での数字だ。

難易度の感覚(母集団は違う。桁の話) プロップ初回出金 ~5–7% 受験者 100 人中 5〜7 人 NCAA → NBA ~1% 大学男子バスケ ドラフト到達 高校野球 → プロ ~0.03% 部員全体なら 約 3,300 人に 1 人
出金到達は一握りでも、プロ選手になる確率よりは桁が違う。

バスケは NCAA の推計(大学男子バスケ → NBA ドラフトがおおよそ 1%)。高校野球部 → プロは、部員全体を母数にしたときの概数として 0.03% 前後がよく使われる。年次と母数の取り方で動く。

そう考えると、合格率の低さは「やめろ」の根拠というより、設計して通すゲームだという合図に近い。平均は低い。個人のプロセスは、平均のままである必要はない。

最大損失はしょうがない。細則失格はしょうがなくない

最大損失で落ちるのは、ある程度しょうがない。トレードである以上、連敗は来る。サイズを半分にしても、ゼロにはできない。ここが失格の約半分、というデータは重い。

それでも、残りは別物だ。細則違反は約 8%。日次損失の約 20% のうち、かなりの部分は復讐トレード。途中放棄の約 5%。この層を落とさないだけでも、合格率は上がる。最大損失の壁を壊さなくても、足を引っ張る穴は塞げる。

落ち方を二つに分ける しょうがない側 最大損失 失格の約半分 実力・サイズ・運 ゼロにはできない しょうがなくない側 細則・日次・放棄 ニュース / 一貫性 / 日数 復讐トレード / 途中放棄 ここを潰すだけで合格率は上がる
最大損失は実力と運。細則失格は、潰せる側。

しょうがない側

最大 DD。戦略の期待値とサイズと運。ここを完全に消す方法はない。できるのは、1 トレードあたりのリスクを 0.5〜1% に落とす、許容の半分しか使わない、くらいだ。

しょうがなくない側

ニュース窓、週末・オーバーナイト、一貫性、最低取引日数、 EA / VPN / IP 属性、コピー疑惑。プログラムとチェックリストで触らない設計にできる。日次は、業者上限の半分で自分を止める。

ブログ側でも同じことを書いた。FX の神になる必要はない。プロップのルールに勝つ。ニュースや週末制限は、仕組みで避ければいい。勝負は一定のリスクリワードを続ける側に残る。

通る人は、小さく、少なく、長くやる

TSB が合格者と不合格者の行動を比べた表は、きれいすぎるくらい分かりやすい。サンプルは限定的で一般化はできない、と本人たちも注記している。それでも方向は一致している。

指標 通った人 落ちた人
1 トレードのリスク 口座の約 0.5〜1% 約 2〜3%
使うポジション 許容の半分未満 上限付近
1 日のトレード数 約 3〜4 約 6〜8
目標までの日数 約 15〜20 日 —(途中失格)
使うドローダウン 上限の半分未満 100%(上限到達)
  1. 01

    サイズを、ルールが許す半分にする

    失格理由の本丸が最大損失なら、ここが一番効く。連敗しても生き残る側に寄せる。

  2. 02

    日次は、業者の半分で自分を止める

    日次 $2,000 なら $1,000 で終わり。復讐の螺旋を切る。

  3. 03

    細則は、仕組みで触らない

    カレンダー・ EA の時間フィルタ・チェックリスト。記憶で守らない。

  4. 04

    期限の前半で決めにいかない

    通る人は評価期間の 60〜80% を使う、という観察がある。急ぐとサイズが膨らむ。

まとめ

  1. 01

    出金できるのは一握り

    試験合格 5〜12%、受験者全体の出金は数%〜7% 前後。合格スクショは途中経過。数字は公開ソースの寄せで、公式の一点ではない。

  2. 02

    それでもプロ選手よりは届く

    高校野球部からプロの 0.03% や、NCAA バスケから NBA の約 1% と比べると、桁が違う。不可能の話ではない。プロセスを設計して通す側の難易度だ。

  3. 03

    細則で落ちないだけで、合格率は上がる

    最大損失はしょうがない。ニュース・一貫性・日数・日次の復讐はしょうがなくない。穴を塞いでから、サイズの話をする。

投資助言ではない。各社の公式条件は変わる。申し込み前は一次情報を確認してほしい。業者の見分けは要注意 Prop Firm の見分け方、付き合う前提はプロップファームの真実